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Posted by : 事務局

自学自習支援

 いわゆる予備校本の使用に関して,以前議論があった。個人的には,使い方によっては(ここが重要なのだが)有効だと考えている。ただ,1年生に対しては,まず基本書を(基本判例集と六法を片手に)講義資料に沿ってじっくり読みこなすことを命じている。絶対にやってはいけないのは,基本書による基礎知識の理解がほとんどできていないにもかかわらず,予備校本を自学自習の柱にすることである(本学の学生はその理由を知っているので省略)。基本書による理解(その方法は授業で指導しているので秘密)ができれば,予備校本の中には便利に使えるものもある。もっとも,「講義資料を自分でしっかりまとめておけば,わざわざ購入する必要ないよ」と言ってくれたOBもあるくらい(ちょっと自慢してしまった),本学の授業は工夫されているのである。

 そういえば,今年の7月に,文科省から「学生が予備校を利用しているかどうかについて,把握しているか。把握している場合は,どのような状況か,回答せよ」との調査が来た。いくら文科省といえども,何と馬鹿げた調査であることかと思ったので,少し探ったところ,どうやら議員さんから質問があったらしい。一体何のための調査なのだろう。学生が自学自習のために,予備校などを利用することがあると仮定しても,それを法科大学院が把握していなければならないものなのか。質問の趣旨が不明である。法科大学院バッシングの風潮は,こうした先の見通しをもたない議員さんとやらによる文科省いじめが発端であったことを自覚すべきである。

 そもそも,予備校は司法試験制度にとって悪なのか。アメリカにも有名な司法試験予備校がある。その他に州の弁護士協会が提供する試験対策コースもある。多くのロースクール生がこうした試験対策コースを受講するらしい。もっとも,卒業から試験まで,ある程度の期間があり,その間に受講して試験に備えるということなのかもしれないが。試験は,限られた時間内に一定の解答を要求するものである。自分の持っている知見を,一定の時間内に的確に披露するためには,それなりの訓練を必要とする。それをどこでどのように習得するかは,学生個人の自由である。もちろん,本学では,具体的な相談があれば,その学生に応じてもっとも適切な方法をアドバイスする態勢は整っているし,普段の指導においても意識している。

 閑話休題。自学自習が基本といっても,「自分で勉強してください」ではない。個々の学生に応じて,どのような方法が効果的かを考え,アドバイスを行っている。一般的に,知識を定着させる方法として,他人と議論することが効果的であることがよく知られている。本学においても,自主ゼミを奨励し,複数人による自学自習を促している。1年生に対しては,基礎知識の定着を図る目的で議論の場を作るように指導しているが,上級生に関しては,進級している以上,基礎知識はある程度定着しているはずなので,自由な発想で自主ゼミを展開すればよいと思う。もちろん,「自由に」は「勝手に」とは異なるので,側面からできる限りの支援をしている。呼ばれれば出向いて解説する(呼ばれたことはあまりないが,呼ばれなくても行くことはある),OBの支援も求める,コピーカードも配る,必要な書籍があれば直ちに購入する。学生の経済的負担を極力避けるべく,自学自習に必要な経費を可能な限り大学が負担する。添削を求められれば,その学生に応じたていねいな添削をして,自学自習のアドバイスを行う。これも,少人数だからこそ可能なことである。学生諸君には,おおいに活用してもらいたい。

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