ホーム » 法務の窓から » 怒・新聞報道
Posted by : 事務局

怒・新聞報道

法律に関するトピックを紹介するコーナーとして,再出発しようとしていた矢先,不愉快な新聞報道がなされたので,一言。

北海道の有力地方新聞。北海学園大学の法務研究科長(どうやら私のことらしい)は,「現状は厳しい。補助金を削除されたら,法科大学院からの撤退も考えなければならない。」と語ったとのこと。あのICレコーダーは飾りだったのか。正しくは,以下の通り(要点のみ)。

「法科大学院の運営は,補助金があってもなくても『現状は厳しい』。」「『補助金を削除されれば』その困難さは高くなるかもしれないが,それは法人が考えることである。研究科としては,有職者教育,複数の法科大学院による法曹養成という社会の要請に応えることが設置の精神であるから,社会が求めなくなれば,こちらも応える必要がなくなり,『撤退も考えなければならない』だろう。」

 要は,社会的責務を果たすため,経営的に不利かもしれないが,設置に踏み切ったのであり,社会が必要としないというのであれば,有職者の教育を含めた大学の義務はなくなる,という話であった。その際,文科省(中教審)の姑息な手段(文科省らしいといえばらしい)など,関係がないことも付言した。

 そもそも,新聞社が法科大学院制度について,制度に問題があるという観点から記事にする場合,取材の対象はその制度を実施する文科省(とくに中教審)・法務省,および知識もなく騒ぎ立てた国会議員らではないか。彼らがこの制度について,何を考え,何をしてきたか,今後どうするつもりなのかを探りだし,それを評価することこそ,報道たるものではないか。残念ながら,そうした姿勢は,皆無である。

 このままでは,多様な法曹など育たず,旧制度に逆戻り(ただし,法曹になるまで年数がかかるというだけの制度)である。「長いものには巻かれろ」「寄らば大樹の陰」ではなく,教員と学生が一体となって目指すべき法曹像を語り合う小規模法科大学院こそ,豊かな人間性を育む。

(丸山)

このブログの最新記事

2012.11.06
事後法の禁止
2012.10.19
自学自習支援
2012.10.09
怒・新聞報道
2011.02.02
秋山義昭先生を偲んで
2011.01.10
司法場面における手話通訳