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Posted by : 事務局

司法場面における手話通訳

 2010年12月23日,本法科大学院の法廷実習室にて,模擬裁判形式で聴覚障害者が裁判員に選出された場合の手話通訳研修が行われた。これは,札幌聴力障害者協会が甲南大学の渡辺先生を講師に招き22日・23日の2日間にわたって行われた研修会の1コマである。某日,協会から,本学に実際の法廷と同様の施設があると聞き,研修に利用させてもらいたい旨の要望があり,授業の一環として協力させていただいた。
 研修は,30数名の手話通訳関係者が集まり,肘井弁護士が裁判長役を務め,検察官・弁護士・被告人を同弁護士事務所の新人弁護士に担当していただき,渡辺先生の指導の下,台本に基づく模擬裁判形式で約7時間にわたって行われた。個人的な興味もあったことから,検察官席に座って参観させていただいたが,なかなか興味深い研修会であった。
 今回は,裁判員の中に聴覚障害者がいる場合に,手話通訳の問題点とその解決法が実践的に検討された。聴覚障害をもつ裁判員が,他の裁判員と同様の情報をもつことができなければ,裁判員としての役割を果たすことはできない。通訳には,言葉を手話に置き換えるのではなく,内容を手話によって伝えることが求められる。しかも他の裁判員が聞いて理解できるのと同等の内容を伝えなければならない。研修参加者が交代で通訳を実践する際に苦労をされたのも当然であろう。
 途中,台本と関係なく尋問や質問をするようにとの指示がなされたが,裁判員役の参加者が証人に対して行った質問も的確なものであり,証人役の参加者も見事にアドリブの証言をされていた。単に手話通訳の研修というだけではなく,裁判員裁判そのものに対して真摯な取り組みをされた研修参加者には,感心すると同時に,ある種の心強さを感じた。このような有意義な行事に,場所の提供というささやかな形式ではあるが,協力できたことは光栄である。(ま)

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